
2025 年、各都道府県は中小企業・小規模事業者の販路拡大や DX 推進を目的に、ホームページ(HP)制作費を対象とした独自補助金を拡充しています。しかし名称・上限額・受付期間は自治体ごとに異なり、公式サイトを巡回して情報を集めるだけでも時間を要します。本記事では 47 都道府県すべての HP 制作補助金を早見表で一挙掲載。さらに「県補助+小規模事業者持続化補助金」を 重複なく同時活用する具体手順を解説し、自己負担を最小化するための実務 Tips を共有します。
この記事で得られるメリット
- 全国 47 都道府県の 上限額・補助率・受付期間 を一覧で確認
- 上限額 TOP10 と厚い県/薄い県の分布をランキング表で把握
- 県補助と持続化補助金を ダブル活用 して HP 制作+ SEO・広告費までカバー
- 見積書の 経費分割方法 や報告書の 共通 PDF 化 など実務ノウハウを習得
- よくある疑問(重複計上・交付決定前着手・サブスク費用)の FAQ ですぐに解決
1. 47 都道府県 HP 補助金の全体像
1‑1 補助金のタイプと特徴
区分 | 概要 | 上限目安 | 主な県 |
---|---|---|---|
県単独デジタル化枠 | HP・EC 制作を含む汎用枠 | 50–300 万円 | 愛知・宮城・大阪 ほか |
創業・起業支援型 | 起業・第二創業時の HP 制作を支援 | 100–200 万円 | 北海道・福岡 |
商店街・共同サイト型 | 商店街・団体の共同 HP を支援 | 50–150 万円 | 大阪・兵庫 |
市町村上乗せ型 | 県枠が薄い県で市町村が独自補助 | 10–100 万円 | 岡山・奈良 など |
傾向:2025 年度は 32 県が汎用デジタル化枠 を新設・継続し、残る 15 県は創業型や市町村上乗せで対応。
1‑2 上限額分布のざっくり把握
- 300 万円クラス:東京都(区平均 250–300)、大阪府(商店街サポート枠)
- 200 万円クラス:愛知・宮城・北海道・長野(予告)など 6 県
- 150 万円クラス:福岡・熊本・広島・兵庫 ほか 7 県
- 100 万円未満:鳥取・島根・佐賀など 8 県(市町村補助が中心)
2. 都道府県別早見表【2025 年7 月時点】
表の読み方
- 上限額が 200 万円以上の県は 太字
- 未発表県は「—」、受付未定は「未発表」と表記
- 正式要件は必ず最新の公募要領でご確認ください。
都道府県 | 補助金名 | 上限額 (万円) | 補助率 | 受付期間 (2025) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 地域課題解決型起業支援補助金 | 200 | 1/2 | 6/18–7/23 | HP・EC 可 |
青森 | 県内販路拡大支援補助金 | 100 | 2/3 | 未発表 | 24 実績+予告 |
岩手 | デジタル化推進補助金 | 120 | 1/2 | 8 月予定 | EC 可 |
宮城 | デジタル化支援事業補助金 | 200 | 2/3 | 5/23–7/15 | SEO・広告不可 |
秋田 | 県産品販路開拓補助金 | 80 | 2/3 | 7/1–9/30 | — |
山形 | 未来創造 IT 導入補助金 | 100 | 1/2 | 8 月予定 | — |
福島 | ふくしま DX 推進補助金 | 150 | 1/2 | 6/20–8/9 | — |
茨城 | 成長産業販路開拓補助金 | 120 | 2/3 | 未発表 | — |
栃木 | DX 成長支援補助金 | 120 | 1/2 | 7/10–9/6 | — |
群馬 | ぐんま DX 支援補助金 | 150 | 1/2 | 6/3–8/2 | — |
埼玉 | 彩の国 IT 導入補助金 | 150 | 1/2 | 5/7–7/12 | 市上乗せあり |
千葉 | ちば販路拡大補助金 | 120 | 1/2 | 6/17–8/31 | — |
東京 | 区部 HP 制作補助(最大) | 300 | 1/2 | 区により通年 | 区別リンク※ |
神奈川 | かながわ DX 推進補助金 | 200 | 1/2 | 8 月公募 | — |
新潟 | 新規採用活動支援補助金(新潟市) | 75 | 1/2 | 5/1–6/30 | HP 改修可 |
富山 | 販路開拓スタート補助金 | 100 | 2/3 | 6/1–7/31 | — |
石川 | 持続化補助金上乗せ枠 | 100 | 2/3 | 国に準ずる | — |
福井 | DX 導入実践支援補助金 | 150 | 1/2 | 7/1–9/9 | — |
山梨 | やまなし DX 補助金 | 120 | 1/2 | 6/15–8/30 | — |
長野 | DX 推進補助金(予告) | 200 | 1/2 | 8 月予定 | 24 実績 200 |
岐阜 | メディア活用販路拡大補助金 | 150 | 2/3 | 6/12–8/20 | — |
静岡 | しずおか IT 導入補助金 | 150 | 1/2 | 7/5–9/5 | — |
愛知 | DX 支援補助金 | 200 | 1/2 | 交付決定~26/2/28 | HP も対象 |
三重 | みえデジタル応援補助金 | 150 | 1/2 | 6/25–8/23 | — |
滋賀 | びわこ IT 支援補助金 | 100 | 2/3 | 7/8–9/6 | — |
京都 | 木津川市デジタル活用補助金 | 60 | 2/3 | 7/1–9/30 | 市補助 |
大阪 | 商店街サポート補助金 | 250 | 1/2 | 4/8–10/31 | 共同 HP 可 |
兵庫 | ひょうご販路開拓補助金 | 150 | 2/3 | 6/17–8/21 | — |
奈良 | 市町村上乗せ活用 | 100 | 2/3 | 無 | 県単独枠なし |
和歌山 | わかやま IT 導入補助金 | 120 | 1/2 | 8 月予定 | — |
鳥取 | 24 年度販路拡大補助金 | 80 | 2/3 | 未発表 | 25 未発表 |
島根 | 島根 IT 補助金(24 実績) | 80 | 2/3 | 未発表 | 25 未発表 |
岡山 | 県単独枠なし→市町村上乗せ | 50–200 | 2/3 | 国:11/28 | 上乗せあり |
広島 | ひろしま DX 補助金 | 150 | 1/2 | 7/12–9/10 | — |
山口 | やまぐち IT 支援補助金 | 100 | 2/3 | 7/5–9/4 | — |
徳島 | とくしま DX 補助金 | 120 | 1/2 | 8 月予定 | — |
香川 | かがわデジタル推進補助金 | 120 | 1/2 | 7/1–9/2 | — |
愛媛 | デジタルビジネス創出補助金 | 200 | 1/2 | 7 月予定 | 24 実績 |
高知 | デジタル化促進補助金 | 100 | 1/2 | 未発表 | 25 未発表 |
福岡 | DX 加速化補助金(案) | 150 | 1/2 | 7/22–9/20 | 起業枠あり |
佐賀 | IT 導入促進補助金 | 80 | 2/3 | 8 月予定 | — |
長崎 | ながさき DX 補助金 | 120 | 1/2 | 7/1–9/5 | — |
熊本 | 経営力強化補助金 | 150 | 2/3 | 4/15–7/12 | SEO 不可 |
大分 | おおいた デジタル化補助金 | 120 | 1/2 | 6/18–8/16 | — |
宮崎 | DX 人材育成・販路拡大補助金 | 120 | 1/2 | 7/4–9/6 | — |
鹿児島 | かごしま IT 活用補助金 | 150 | 1/2 | 7/10–9/9 | — |
沖縄 | うちなー販路拡大補助金 | 100 | 2/3 | 5/28–7/26 | HP・越境 EC 可 |
3. ランキングで見る “厚い県・薄い県”
3‑1 上限額 TOP10 ランキング
順位 | 都道府県 | 上限額 (万円) | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 東京都(区平均) | 300 | 区により 250–300 |
2 | 大阪府 | 250 | 商店街サポート補助金 |
3 | 愛知県 | 200 | DX 支援補助金 |
3 | 宮城県 | 200 | デジタル化支援補助金 |
3 | 北海道 | 200 | 起業支援補助金 |
3 | 長野県 | 200 | 8 月公募予告 |
7 | 福岡県 | 150 | DX 加速化補助金 |
7 | 熊本県 | 150 | 経営力強化補助金 |
7 | 広島県 | 150 | ひろしま DX 補助金 |
7 | 兵庫県 | 150 | ひょうご販路開拓補助金 |
解説
「厚い県」=上限額が 200 万円以上 の 6 県が突出。東京都と大阪府は 250 万円超で二強。
3‑2 上限額クラス別分布
クラス | 上限額レンジ | 都道府県数 | 主な県 |
---|---|---|---|
厚い県 | 200 万円以上 | 6 | 東京・大阪・愛知・宮城・北海道・長野 |
中堅層 | 120–199 万円 | 22 | 埼玉・千葉・広島・福岡 など |
薄い県 | 50–119 万円 | 19 | 鳥取・島根・佐賀・秋田 など |
4. 県補助+持続化補助金をダブルで取る5ステップ
4‑1 経費分割の基本ルール
経費区分 | 県補助 | 持続化 | 重複可否 |
---|---|---|---|
HP 制作費 | ◎ | ✕ | 不可 |
多言語化 | ◎ | △(販路拡大なら可) | 要分割 |
SEO/広告 | ✕ | ◎ | — |
印刷物 | ✕ | ◎ | — |
4‑2 実務フロー
- 見積書を3分割(ページ制作/多言語化/SEO・広告)
- 県補助の交付決定を先行取得(8〜10 月)
- 持続化補助金(第18 回)に SEO・広告費を申請(締切 11/28)
- 両方の交付決定後に発注・着手 ― 前払い・交付前着手は全額不採択
- 実績報告を PDF パック化 → 県と国へ同一資料で提出し工数削減
資金繰り注意:県補助は 2〜3 月入金、持続化は 6〜8 月入金が目安。
前渡し制度 がない県は短期借入枠を事前確保しておくと安心です。
5. FAQ ― よくある疑問を即解決
Q | A(要点) |
---|---|
同じページ制作費を県補助と持続化に分けられる? | 不可。経費は一意に割当。分けるなら多言語化や SEO など機能別に。 |
WordPress テーマやプラグイン購入費は対象? | 県補助 OK。持続化は販路拡大目的であれば OK。両方に入れないよう注意。 |
交付決定前にドメイン・サーバー費を支払ったら? | 原則対象外。月額サブスクも交付決定後 12 か月以内分のみ補助対象。 |
制作会社が県外でも申請できる? | 可能だが「県内事業者推奨」。県外採用時は比較見積+理由書を添付。 |
IT導入補助金との併用は? | 同一経費重複不可。例:CMS 開発=IT導入、HP デザイン=県補助で分割。 |
6. まとめ
2025 年度は 47 都道府県すべてで HP 制作費を補助する制度が利用可能となり、上限額は 50 万〜300 万円と地域差が大きいのが特徴です。早見表とランキングで“厚い県・薄い県”を把握し、自社所在地や販路戦略に合った制度を選びましょう。さらに県補助と小規模事業者持続化補助金を経費分割で同時申請すれば、HP 制作に加え多言語化・SEO・広告まで幅広くカバーできます。見積書の分割、交付決定の時系列管理、報告書の共通 PDF 化を徹底し、自己負担を最小に抑えた DX 投資を実現してください。
次にやるべきアクション
- 早見表で 自社所在地の上限額・受付期間 を確認
- HP 制作会社へ 内訳付き見積書(制作/多言語/SEO) を依頼
- 県補助の公募要領から 交付決定スケジュール を逆算
- 商工会に持続化補助金の 様式 4 を早めに発行してもらう
- 契約・支払が交付決定後になるよう 発注カレンダー を作成