~要件・補助内容・審査ポイントの違いから選び方まで総まとめ~
この記事のポイント(2025年5月16日時点)
- 2020年から続く「事業再構築補助金」と、新設の「新事業進出補助金」を比較
- 自社がどちらに向いているか、目的別チャート&補助内容表で解説
- 採択率を高める事業計画の作り方、不採択事例から学ぶNGポイントも網羅

はじめに:2025年度は「事業再構築補助金」から「新事業進出補助金」へ
これまでコロナ禍対応の主力補助金として多くの中小企業が活用してきた「事業再構築補助金」。しかし、2025年度からは新たに「新事業進出補助金」が創設され、事業再構築補助金は2025年3月ごろで終了する見通しとなっています。
そこで、どちらが自社に適しているか迷う経営者の方も多いのではないでしょうか。
- まだ売上が戻らず、既存事業からの業態転換を検討している
- コロナ禍のダメージは少ないが、新規事業で成長を狙いたい
本記事では、両制度の目的や補助内容の違いを表や事例でわかりやすく比較し、「自分の企業はどちらに申請すべきか」を判断できるよう解説します。さらに採択されやすい計画書のポイントや、よくある不採択理由を整理しながら、2025年以降の補助金活用を成功に導くためのアドバイスをお届けします。
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当サイトは「補助金・助成金 × AI活用」をテーマに、行政書士や中小企業診断士など専門家が集まるメディアです。事業再構築補助金を含む多くの公的支援制度の実務経験があり、最新情報を踏まえたわかりやすい解説を心がけています。本記事も2025年の公募情報を踏まえてまとめていますが、最終的には公式公募要領や事務局発表を必ずご確認ください。
1. 目的・対象の違い(どちらを選ぶべきか)
1-1. 危機対応か成長志向か
- 事業再構築補助金
- 売上減少要件あり。コロナ禍などの影響で経営が厳しく、思い切った再構築が必要な企業向け
- 既存事業の業態転換や新分野展開で危機を乗り越えるのが目的
- 新事業進出補助金
- 売上減要件なし。コロナ禍のダメージは少なくてもOK
- ポストコロナの成長を狙う企業向けで、既存事業とは異なる新市場進出を支援
1-2. 投資規模や設備の方向性
- 事業再構築補助金:100万円程度の小規模投資から数千万円以上の大規模投資まで幅広く対応
- 新事業進出補助金:補助下限750万円(総投資1,500万円以上)とややハードルが高い分、建物費や広告費も幅広く補助
1-3. 目的別チャート
1) コロナ禍で大幅に売上が減り、業態転換が急務 → 事業再構築補助金を検討
2) 既存事業は安定だが、新たな収益の柱を作りたい → 新事業進出補助金が有力
3) 設備投資を伴い、広告宣伝費や建物費も補助対象に含めたい → 新事業進出補助金
4) 投資規模が小さい(数百万円以下) → 事業再構築補助金または別の補助金も検討
2. 補助内容の比較(補助率・金額・対象経費など)
以下の表は、第12回公募の事業再構築補助金と、2025年度開始の新事業進出補助金の代表的な違いをまとめたものです。
項目 | 事業再構築補助金(第12回公募時点) | 新事業進出補助金(2025年度~) |
---|---|---|
対象事業者 | 中小企業・中堅企業など※売上減少要件あり | 中小企業・小規模事業者のみ※売上減なし+賃上げ要件あり |
主な目的 | コロナの影響を受けた企業の業態転換・再編を支援 | 新市場・高付加価値への進出による成長を後押し |
補助対象経費 | 機械装置費、建物費、技術導入費、外注費など(広告費は原則対象外) | 機械装置費、建物費、広告宣伝費、販売促進費など※広範囲 |
補助金上限 | 中小: 最大6,000〜8,000万円(特別枠1億円超も) | 従業員数に応じ2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) |
下限額 | 実質100万円程度から申請可 | 750万円(投資総額1,500万円以上が必要) |
補助率 | 2/3(一部3/4) / 中堅1/2等 | 一律1/2が基本(小規模や特例で2/3に引上げ) |
採択率(目安) | 30〜50%前後→近回は25%前後 | 初回は未公表だが応募多く競争率高い見込み |
審査重視ポイント | コロナ禍からの再構築必要性、大胆な業態転換の実現可能性 | 新市場での付加価値+4%目標、賃上げ計画の具体性、収益性 |
3. 両制度の併用・連続利用は可能?
3-1. 過去に事業再構築補助金を受けた場合
- 別の新規事業計画であれば、新事業進出補助金への応募もOK
- 同じ経費を重複申請することは不可
- すでに再構築補助金で賃上げ・付加価値の目標を設定している場合、新たな事業計画とリソース面で両立できるか注意が必要
3-2. どちらかに落ちた場合の再チャレンジ
- 事業再構築補助金があと数回で終了予定なので、再構築補助金に落ちたら新事業進出補助金へ移行する選択が現実的
- 逆に新事業進出補助金で落ちた場合は、次回公募(年複数回予定)でのリトライも見込める
4. 採択されやすさの比較~審査のポイント~
4-1. 事業再構築補助金:コロナ禍対応+大胆転換が評価
- 売上減少を背景に、業態転換・新分野展開をどれだけ論理的に示すか
- 「コロナ禍の市場変化に適応する」「地域経済活性化に寄与」などの社会性もプラス
- 最近は応募数が多く競争激化、審査通過率25%前後と狭き門
4-2. 新事業進出補助金:付加価値向上&賃上げが必須
- 年平均+4%の付加価値増、従業員給与総額の一定以上増加が必要
- 市場分析や収益シミュレーションがしっかりしていないと実現性に疑問を持たれやすい
- 「自社の強みをどう新市場で活かすか」「具体的な投資とリターンが見合うか」がカギ
5. 不採択となる理由・失敗パターンとは?
- 書類不備・添付漏れ
- 申請様式や認定支援機関の確認書に誤りがある
- 売上減少や財務データの証拠書類を揃えていない
- 事業計画が曖昧・数字根拠不足
- 市場規模や競合分析なし、机上の空論で売上目標だけ書いている
- 「なぜこれで賃上げが可能なのか」説明がない(新事業進出補助金の場合)
- 既存事業の延長で新規性が薄い
- 単なる設備更新や小改良レベルでは「新事業進出」「再構築」と認められない
- 企業の強み・弱みとの整合性がない
- 他業種に飛び込むがノウハウ不明、実現可能性が低い計画
- 国策との関連が希薄
- デジタル化・グリーン成長・地域活性化など政策キーワードを全く無視している
ポイント:公募要領の審査項目を1つずつ満たし、実現可能性や収益性を説得力ある数字で示すのが採択の近道。書類提出前に第三者チェックや専門家の助言を受けるのも有効。
6. まとめ
2025年度は、「事業再構築補助金」から「新事業進出補助金」への転換期です。これまでコロナ禍のダメージを受けた企業を救済・再建する目的だった事業再構築補助金に対し、新事業進出補助金はより成長志向の取り組みを強力に支援します。
- コロナ禍の大幅売上減に対応 → 事業再構築補助金(あと数回で終了の見通し)
- ポストコロナで新市場を開拓し、賃上げや付加価値UP → 新事業進出補助金
いずれも競争率は高く、採択を勝ち取るには事業計画の完成度が勝負となります。数字の裏付け、企業の強みや市場のニーズを具体的に示し、「補助金を投じる価値がある」と審査員を納得させる必要があります。
最後に:準備で差がつく
- 要件をしっかり確認し、どちらの制度が自社に合うか明確に
- 書類不備や申請様式ミスを防ぐため、チェックリストを活用
- 計画の説得力(市場分析・収益モデル・賃上げ可否)を数字で示す
- 可能なら認定支援機関や専門家のサポートを受ける
本記事が、読者の皆さまの補助金選びと申請成功に役立つことを願っています。公募回数やスケジュールは変動しやすいため、必ず公式サイトで最新情報を確認してからご準備ください。補助金をうまく活用し、自社の新たな成長や事業転換に取り組んでみましょう!
著者情報:HOJOLAB
- 行政書士・中小企業診断士など、補助金申請支援に実績のある専門家が運営
- 全国の商工会議所や認定支援機関と連携し、最新の公募情報を収集
- AIツールを用いたリサーチで、迅速・的確に情報を更新
免責事項
2025年5月16日時点の情報に基づいて執筆しています。公募内容や要件は変更される場合があるため、必ず公式の公募要領や事務局発表を最終確認してください。補助金申請の可否や採択結果を保証するものではありません。