今回の記事は、ChatGPTや生成AIの導入を検討している中小企業向けに、2025年版の主要な補助金・助成金情報をまとめたものです。公募期限や最新の公募スケジュール、具体的な補助金額・補助率、どのようなAI活用が対象となるかなどを網羅的に紹介しています。さらに、用途別のおすすめ制度や申請時のポイントも解説しているため、導入目的に合った支援策を選ぶ際にお役立てください。なお、数字や公募時期は2025年5月現在の公表情報をもとにしていますが、正式には必ず各省庁や自治体の公式発表・公募要領を確認してください。
この記事のポイント
- 2025年5月12日締切のIT導入補助金・小規模事業者持続化補助金など、締切が差し迫っている公募が複数あり
- 生成AI導入に活用できる新設補助金として「中小企業新事業進出補助金」「中小企業省力化投資補助金」などが登場
- 補助率最大4/5や補助上限最大9,000万円といった制度もあり、AI関連投資を大幅にコスト削減可能
- 2025年は各自治体でも独自のDX推進助成を拡充中(東京都、大阪府、福岡県など)

1. 生成AI導入と補助金活用のメリット
1-1. 中小企業におけるChatGPT・生成AI活用の可能性
ChatGPTをはじめとする生成AIは、文章作成・要約・翻訳・データ分析など幅広い業務に対応できる点が魅力です。これを導入することで、以下のような効果が期待できます。
- 業務効率化・人件費削減: 定型文書作成やFAQ応対の自動化
- マーケティング強化: キャッチコピー作成やSNS投稿、広告運用でのPDCA効率向上
- 新規事業創出: AIを組み込んだ新サービス・プロダクト開発
一方で、導入時には初期投資(システム・ハードウェア購入費、コンサル費、研修費など)がかかるため、補助金・助成金の活用によるコスト削減が有効です。
1-2. 補助金・助成金を使うメリット
- 導入費用の一部を国や自治体が負担してくれる
- 最新のIT活用やDX案件ほど優遇されるケースが多い(補助率アップなど)
- AI・RPA関連で実績豊富なITベンダーと提携しやすくなる(公募要件を満たすITツールが多い)
このように、「導入効果が高いのに投資額がネック」という課題を補助金で解消し、中小企業のDX加速につなげられることが大きなメリットです。

2. 主要補助金・助成金一覧(2025年版)
以下の表は、2025年時点で利用可能な全国および自治体の中小企業向け補助金・助成金の主要制度を整理したものです。実施主体、対象エリア、補助対象AI用途、補助率、上限額などを比較できます。
補助金名(制度名) | 実施主体 | 対象エリア | 最新公募スケジュール | 補助対象AI用途の範囲 | 補助率 | 補助上限額(下限額) | 主な対象経費 | 導入例・活用事例 |
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IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業) | 国(経産省・中小企業庁) | 全国 | 2025年度 第1次公募:受付締切2025/5/12(交付決定6月中旬予定)※年間複数回公募予定 | 中小企業の業務プロセスDX化のためのITツール導入全般(AIサービス等)。インボイス対応枠あり。 | 通常枠:1/2(賃上げ要件で2/3)インボイス枠:3/4(小規模4/5) | 通常枠:上限450万円(最低5万円)インボイス枠:ソフト上限350万円+ハード上限10〜20万円 | ソフトウェア購入・利用料、クラウドサービス費、導入支援費用、(インボイス枠ではPC・レジ等ハードも対象) | 社内業務効率化: 例)ChatGPT API連携の社内FAQシステムで対応時間40%削減。経理DX: 例)AI-OCR+クラウド会計で経理工数70%削減。 |
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金) | 国(経産省・中小企業庁) | 全国 | 19次公募(2025年):公募開始2025/2/14電子申請開始2025/4/11申請締切2025/4/25採択発表2025/7下旬 | 革新的製品・サービス開発や生産プロセス革新(AI活用ライン構築、新サービス開発等) | 中小企業:1/2(小規模は2/3)※賃上げ等条件で補助上限+100~1000万円 | 通常枠:従業員規模別750万~2,500万円グローバル枠:一律3,000万円※賃上げ特例適用時は最大4,000万円 | 機械装置費、システム開発費、ソフト費用、試作開発費、ICT機器、設備設置費等 | 製造プロセス革新: 例)AI外観検査ライン導入で検査時間80%短縮。新サービス: 例)ChatGPT API連携SaaS開発で新規売上増。 |
小規模事業者持続化補助金<一般型> | 国(中小企業庁・日本商工会議所等) | 全国(商工会議所または商工会エリア別) | 第17回公募(一般型):受付開始2025/5/1締切2025/6/13 17:00※年数回公募予定 | 販路開拓や業務効率化の取組全般。AI活用マーケティング、チャットボット導入等も対象 | 原則2/3(特別枠で補助率・上限増あり) | 通常枠: 上限50万円特例: 上限200万円 | 広告宣伝費(Web制作、チラシ等)、ソフト費、研修費、機械装置費等 | 販路開拓: 例)AIコンテンツ生成+ECサイト構築で海外売上増。マーケ支援: 例)AI動画広告+SNS運用で問い合わせ2.3倍。 |
中小企業新事業進出補助金 | 国(経産省・中小企業庁) | 全国 | 2025年度創設(初回公募準備中)2025年3月時点で要綱公表。公募開始見込み | 既存とは異なる新事業への進出を支援。生成AIを活用した新サービス開発・業態転換など | 一律1/2(大幅賃上げで上限引上げ特例) | 従業員数20人以下:2,500万円21~50人:4,000万円51~100人:5,500万円101人以上:7,000万円(特例で最大9,000万円) | 機械装置・システム構築費、ソフトウェア、試作開発費、広告宣伝費など | 新サービス創出: 例)ChatGPT内蔵の業務代行サービス開発。既存事業からの大幅転換による付加価値増を目指す企業を支援。 |
中小企業省力化投資補助金 | 国(経産省・中小企業庁) | 全国 | 2025年度創設公募開始時期未発表(年度内実施予定) | 人手不足対応や生産性向上の省力化設備導入が対象。生成AI連携の自動化ソリューションも含む | 1/2(賃上げ企業は上限引上げ) | 5人以下:上限200万円(賃上げ時300万円)6~20人:上限500万円(750万円)21人以上:上限1,000万円(1,500万円) | 機械装置費、AI・IoT機器導入費、ソフト費、設置工事費等 | 業務自動化: 例)AI検品ロボ導入で人員30%削減。省力化投資: 例)自動調理機器で人手不足解消。 |
業務改善助成金(中小企業生産性革命推進事業) | 国(厚労省) | 全国 | 2025年度:通年受付(賃金引上げ計画の事前届出が必要) | 賃上げとセットで設備投資・業務改善費用を助成。AI・IT導入での生産性向上が狙い | 賃上げ後の最低賃金額で3/4~9/10(規模や地域で変動) | 最大600万円(従業員数・引上げ人数で変動) | 機械設備費、ITツール費、教育訓練費、コンサル費など | 飲食店: 自動注文システム導入&時給50円アップ→導入費75%助成。製造業: AI検査装置導入&最低賃金+60円→装置費80%助成。 |
人材開発支援助成金(デジタル化・DX人材育成訓練) | 国(厚労省) | 全国 | 2025年度:通年受付(訓練開始1か月前までに計画届出) | DX推進やAI活用に必要な人材育成研修を助成。ChatGPT研修も対象 | 中小企業:経費の75%+賃金助成(時給1000円)大企業:経費60%+賃金助成(時給500円) | 経費助成:1人当たり年間50万円程度賃金助成:中小1人1時間あたり1000円 | 講座受講料、講師謝金、教材費、研修委託費、研修期間中の賃金 | AIリテラシー研修: 例)4名×30時間研修→経費75万円+賃金11.5万円助成。ChatGPT研修: 生成AI活用研修で業務効率20%向上。 |
DX推進助成金(自治体のデジタル化支援例) 例:東京都 DX推進支援事業 | 地方自治体(東京都等) | 地域限定(東京都など) | 東京都(令和7年度 第1回):事前予約期間2025/5/15~6/16申請受付夏頃予定※自治体により異なる | 自治体独自のDX・IT導入支援。AIチャットボットやRPAなど業務効率化施策が幅広く対象 | 1/2~2/3賃上げ計画企業は3/4~4/5など上乗せ | 東京都:上限3,000万円他地域:上限500万円~など自治体予算による | ソフトウェア・システム導入費、機器購入費、クラウド利用料、コンサル費、研修費等 | 東京都: AI需要予測で在庫最適化、チャットボットで顧客対応自動化→最大3,000万円補助。北九州市: AI画像検査導入で工数大幅削減(補助率2/3・上限500万円)。 |
中小企業DX支援補助金 例:大阪産業局 | 地方自治体(大阪府等) | 地域限定(大阪府など) | 大阪府(令和5年度):受付締切2023年7月※※2024年度以降も継続見込み | AI・IoT活用による業務改善やRPA導入など自治体独自のDX補助金 | 2/3程度(自治体で設定) | 上限300万円程度(自治体により変動) | ソフト・クラウドサービス費、機器購入費、コンサル費用など | 大阪府: RPA+AI分析ツールで属人業務を自動化、導入費2/3を補助。大阪市: AI実証プロジェクト支援でスタートアップと協働開発。 |
参考:
- 経済産業省 中小企業庁「ものづくり補助金」「IT導入補助金」公募要領
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」「業務改善助成金」関連資料
- 東京都・大阪府など各自治体の公式DX推進助成サイト
- JSaaS補助金ナビ、ノーコード総合研究所ブログなど民間情報サイト
3. 用途別おすすめ制度
3-1. 業務効率化(社内業務の自動化・効率向上)
- 主なおすすめ制度: IT導入補助金、ものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金、DX推進助成金(自治体)など
- 具体例:
- IT導入補助金を利用し、ChatGPT API連携のRPAツールを導入 → データ入力やメール対応を自動化
- 省力化投資補助金でAI検品ロボットを導入 → 人手不足を補い、省人化と生産効率アップ
3-2. 営業・販促(マーケティング強化、顧客開拓)
- 主なおすすめ制度: 小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、自治体DX補助など
- 具体例:
- 小規模事業者持続化補助金の販路開拓費で生成AIコンテンツを使ったSNS広告やECサイト構築を補助
- ものづくり補助金でAIマーケティングツールを開発し、新規顧客獲得
3-3. 生成コンテンツ活用(クリエイティブ業務の効率化)
- 主なおすすめ制度: IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、人材開発支援助成金
- 具体例:
- IT導入補助金で生成AIライティングソフト導入 → ブログ記事や商品説明文の作成時間を大幅短縮
- 人材開発支援助成金を活用してChatGPT研修を社内で実施 → 社員のスキルアップを図り、事業全体の生産性を向上
3-4. RPA連携(定型業務の自動化・プロセス連結)
- 主なおすすめ制度: IT導入補助金、中小企業DX支援補助金、中小企業省力化投資補助金など
- 具体例:
- IT導入補助金でRPA+ChatGPTによる見積書作成システムを構築
- 大阪府DX支援補助金でRPA導入コンサルを依頼し、フロー設計費用を2/3カバー
3-5. カスタマー対応(チャットボット・問い合わせ応対)
- 主なおすすめ制度: IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、自治体DX助成等
- 具体例:
- IT導入補助金でAIチャットボット導入 → 問い合わせ対応工数を70%削減
- 小規模事業者持続化補助金で予約受付システムと連動した簡易チャットボットを構築 → 顧客満足度向上&営業時間外の対応を自動化
4. 申請の流れ・スケジュール
4-1. 事前準備
- 自社の導入目的・課題を整理し、適合しそうな補助金をピックアップ
- 公式公募要領や申請要件(対象者・補助率・対象経費・締切など)を確認
- 事業計画書や見積書、会社概要、決算書など必要書類を用意
- 早めに申請システム(電子申請)のアカウント登録やGビズIDの取得を済ませる
4-2. 公募期間中に申請
- 申請書類一式を揃え、電子申請システムにアップロード
- 不備や追加書類依頼があれば、期間内に修正対応
4-3. 採択・交付決定
- 審査に通過すると「交付決定通知」が届く
- 補助事業の実施は交付決定後に開始(事前着手が認められない場合が多いため注意)
4-4. 実績報告と補助金受領
- 事業完了後、実績報告・支払請求書を提出
- 現地調査や書類審査が通れば、補助金が交付される
注意: 締切間際は申請システムが混雑し、アクセス障害が起きやすい傾向があります。早めの申請を心がけてください。
5. 申請・採択のポイント
5-1. 申請書で強調したい要素
- 導入効果・革新性: 生成AIやChatGPTを活用して、どれだけ生産性向上や新規売上増が見込めるか
- 事業の継続性・実現可能性: 投資の妥当性や、補助事業終了後の運用体制を明確に
- 賃上げ計画や雇用創出: 国や自治体が特に重視する要件で、賃上げや雇用増を伴う計画は採択率が上がる傾向
5-2. 専門家や支援機関の活用
- 中小企業診断士や商工会議所の経営指導員に相談する
- ITベンダー・システム開発会社と協力し、要件に合ったシステム見積もりを作成
- 予算や補助上限額を踏まえ、適切な規模のプロジェクトに落とし込む
5-3. 不採択リスクを下げる工夫
- スケジュールに無理がないか、具体的なタスク・コストを明示する
- 曖昧な表現(「効率化できそう」「なんとなくデジタル化」)ではなく、定量的な目標(工数40%削減、売上10%増など)を盛り込む
- 他の補助金との重複申請やルール違反がないか確認
6. よくある質問(FAQ)
Q1. ChatGPT API導入費用は本当に補助対象になる?
A. IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などでクラウドサービス利用料やソフトウェア開発費として認められる場合が多いです。公募要領で「AIサービス」「生成AIツール」と明示されていないケースでも、生産性向上や販路拡大が見込まれるプロジェクトであれば補助対象となる可能性があります。
Q2. 賃上げ要件を満たすにはどうすればよい?
A. 「最低賃金+●円アップ」といった計画を労働局や商工会議所に届出し、実際に給与テーブルを引き上げる対応が必要です。業務改善助成金やIT導入補助金の特別枠では、賃上げ実施企業は補助率が上がることもあります。
Q3. 地方自治体の独自補助はどこで探せる?
A. 各自治体の公式ウェブサイト(産業振興課や経営支援セクション)、商工会議所・商工会の案内ページ、または地域の中小企業支援センターが情報源になります。年度当初(4〜6月頃)に公募が集中するため、適宜チェックするのがおすすめです。
Q4. 補助金申請にかかる手間を減らす方法は?
A. 行政書士や中小企業診断士などの専門家に作成を依頼する、あるいはITベンダーが申請サポートを行っているケースがあります(IT導入補助金のIT支援事業者など)。自社での負担を軽くしながら、採択可能性を高められます。
7. まとめ
- 2025年は生成AI関連の補助金が充実しており、チャットボットやRPA、AIコンテンツ制作など多彩な分野で活用可能
- 賃上げやDX推進を重視した国の方針により、新設補助金(「中小企業新事業進出補助金」「中小企業省力化投資補助金」など)の予算も拡大
- 自治体独自のDX支援も注目度が高く、東京都や大阪府以外にも福岡県・神奈川県など多数の地方公共団体で実施中
- 申請にあたっては公募要領の要件を確認し、導入効果を定量的に示すことが重要
生成AIの活用は、社内の定型業務を大幅に効率化するだけでなく、新しいサービスモデルを生み出すきっかけにもなります。補助金・助成金を活用すれば、投資リスクを抑えながらDXを加速できるため、ぜひこの機会に申請を検討してみてください。