2025年のIT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のデジタル化・DX推進を支援する国の補助制度です。特に注目されているのが「通常枠」と「インボイス枠」。対象者や要件、補助内容、申請方法、そして活用事例までを一挙にまとめました。2025年5月12日17:00(第1次締切)という具体的期限が設定されているため、申請を検討している事業者は早めの準備が重要です。本記事では具体的にどれくらい補助を受けられるのか、また自社が対象になるかどうかを判断するためのポイントを中心に、わかりやすく解説します。
本記事のポイント
- 補助金額は最大450万円(通常枠)・最大350万円+ハードウェア費用(インボイス枠)
- 補助率は1/2〜最大4/5まで賃上げ要件や小規模事業者優遇で変動
- インボイス枠ならPCやレジ等ハードウェアも補助対象
- 申請は締切が複数回あるが、できるだけ早いラウンドでの提出が採択率アップ
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通常枠の対象者と要件
対象者
IT導入補助金の通常枠は、中小企業・小規模事業者等(法人・個人事業主を含む) が申請可能です。製造業なら従業員300人以下、卸売業なら100人以下など、業種別に定める中小企業の範囲内であればほぼ対象になります。小規模事業者(従業員5人以下など)も幅広く該当します。
要件
- ITツールの事前登録
事務局に事前登録されたITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)を導入する必要があります。導入には登録ITベンダー(IT導入支援事業者)の支援を受けることが必須です。 - 業務プロセス要件
営業管理や販売管理、在庫管理、会計、顧客管理など、1種類以上の業務プロセスをカバーする機能が求められます。単なる汎用ツール(テキストエディタやSNSツールのみ等)は対象外です。 - GビズIDプライムの取得 & SECURITY ACTION宣言
交付申請にはGビズIDプライム(発行に約2週間)と、IPAの「SECURITY ACTION(1つ星以上)」宣言が必要です。どちらもオンラインで手続きできますが、時間を要するため早めに対応しましょう。
通常枠はあくまで「生産性向上が見込まれるIT導入」が大前提。単にPCを買うだけでは補助対象になりにくいため、自社の業務課題と導入ツールの効果を明確にしておくことが重要です。
インボイス枠の対象者と要件
対象者
インボイス枠(インボイス対応類型)も基本的には中小企業・小規模事業者が対象です。2023年10月にスタートした「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」対応を支援するため、会計・受発注・決済等のインボイス対応機能を有したITツール導入が補助の対象になります。
一部、大企業も申請可能な「電子取引類型」もある
ただし本記事では中小企業・小規模事業者をメインに解説します。
要件
- インボイス制度対応のITツール
会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトなど、インボイス制度に必要な適格請求書発行機能・消費税対応機能を備えていることが必須です。 - ハードウェアも補助対象
インボイス枠では、ソフトウェアだけでなく、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア購入費用も補助対象。通常枠にはない特長です。例えば「インボイス対応会計ソフト+PC」「POSレジ一式+レシートプリンタ」のようにセットで申請できます。 - 賃上げ計画の策定
インボイス枠に限らず、IT導入補助金全体で「3年間の賃上げ計画表明」が必須。未達成だと補助金返還リスクもあるため、計画的に取り組みましょう。
インボイス枠は特に経理部門の負担軽減に大きなメリットがあります。電子請求書・電子帳簿保存法への対応と合わせて導入することで、一気に経理DXを進める事業者が増えています。
補助対象となる経費と具体例
ソフトウェア・クラウド利用料
- 対象
パッケージ購入費やサブスクリプション(クラウド)利用料(最大2年分)など。 - 具体例
- 会計・販売管理・在庫管理・顧客管理(CRM)システム
- ECサイト構築ツール
- 勤怠・人事給与ソフト
- 予約・顧客対応システム など
オプション機能・連携ツール
- 機能拡張モジュールやセキュリティ対策など、導入ソフトに付随するオプションも補助対象。
- 例)生産管理モジュール、他社ソフト連携ツール、セキュリティオプションなど。
役務(サービス)費用
- コンサルティング・設定・研修・保守サポート
- IT導入支援事業者が提供する導入サポートや、操作マニュアル作成、運用後の保守費用なども補助対象。
ハードウェア購入費(インボイス枠のみ)
- PCやタブレット、レジ・券売機等
- 1台あたりの上限額
- PC・タブレット等:10万円/台
- レジ・券売機等:20万円/台
補助率・補助上限額
通常枠
- 補助率
- 原則:1/2(50%)
- 賃上げ要件などを満たすと:2/3(66.6%) まで引き上げ可
- 補助上限額
- 5万円~150万円(1~3プロセス対応)
- 150万円~450万円(4プロセス以上対応)
例)会計ソフトのみ導入:上限150万円
会計・販売・在庫・顧客など複数導入:上限450万円
インボイス枠
- ソフトウェア部分
- 50万円以下:
- 中小企業→3/4(75%)
- 小規模事業者→4/5(80%)
- 50万円超〜350万円:
- 超過部分→2/3(66.6%)
- 上限:ソフトウェア費用合計 350万円まで
- 50万円以下:
- ハードウェア部分
- 補助率:1/2(50%)
- PCは1台10万円まで、レジ等は1台20万円までが補助対象金額の上限。
例)中小企業が会計ソフト80万円+PC10万円を申請した場合
- ソフト部分:最初の50万円は3/4補助、それを超える30万円は2/3補助
- PC部分:1/2補助(10万円まで)
申請の流れと必要書類
- 前準備 – アカウント取得と宣言
- GビズIDプライムを取得(2週間程度要)
- SECURITY ACTION宣言(一つ星以上)
- IT導入支援事業者へ相談・ITツール選定
- 公式サイトで登録ITツール検索
- 自社の課題・予算に合ったソフトウェアを選ぶ
- 事業計画作成
- 導入目的・解決すべき課題・効果目標などを明確化
- 賃上げ計画も忘れずに盛り込む
- 必要書類の準備
- 履歴事項全部証明書(法人)や決算書
- 見積書・提案書(IT導入支援事業者より)
- 賃上げ計画の社内周知資料 など
- 交付申請の提出(オンライン)
- 申請システムで必要情報を入力・書類アップロード
- 締切当日17:00までに送信必須
- 審査・採択結果通知
- 事務局が書面審査し、交付決定を発行
- 2025年は第1次申請の採択結果を6月18日頃に公表予定
- 事業実施(交付決定後に発注・支払い)
- 交付決定前の経費は補助対象外なので注意
- 2025年は12月下旬までに導入完了・支払いを済ませる
- 実績報告・補助金受領
- 納品書・請求書・支払証憑などをまとめて報告
- 問題がなければ指定口座に補助金が振り込まれる
採択スケジュール(公募期間・締切)
- 交付申請受付開始:2025年3月31日(月)
- 第1次申請締切:2025年5月12日(月)17:00
- 第1次 採択結果:2025年6月18日(水) ※予定
- 事業実施期間(第1次採択者):交付決定日~2025年12月26日(金)17:00
- 実績報告期限(第1次採択者):2025年12月26日(金)同日
第2次・第3次公募は夏~秋頃に追加される見込み
例年最終回は申請数が殺到して採択率が大幅に下がる傾向にあるため、できるだけ早い段階で申請しておくことがおすすめです。
採択のポイント・審査基準の傾向
- 生産性向上の明確さ
- 導入ツールが具体的にどれだけ業務効率化を生むか、定量的に示す。
- 費用の妥当性
- 過剰な設備や過大見積もりになっていないか、費用対効果を重視。
- 加点項目の活用
- クラウド製品の導入、SECURITY ACTION二つ星、IT戦略ナビwithの事前実施など。
- 政策目標との合致(賃上げなど)
- 賃上げ計画や地域経済への波及効果が審査のプラス要素。
- 不備の無い申請
- 書類不備や記載漏れがあると審査に進めない場合も。事前チェックが肝心。
過去の採択率の傾向
- 年度後半(最終回)は駆け込み需要で申請数が急増→採択率が低下
- 早期ラウンドの方が採択率は安定
活用事例・想定される効果
事例① 林業のDX化(通常枠)
- 導入内容:ドローン+3D測量ソフト
- 効果:山林調査の人員が約8割削減、安全性も向上
事例② ホテル業の業務効率化(通常枠)
- 導入内容:クラウド型ホテル管理システム
- 効果:遠隔地から予約状況や売上をリアルタイム管理、人件費削減と顧客対応強化
事例③ 卸売業の販売管理DX(通常枠)
- 導入内容:販売管理システムの刷新
- 効果:受注から出荷までを一元化→出荷キャパ拡大・売上増
事例④ インボイス制度対応と経理効率化(インボイス枠)
- 導入内容:クラウド会計ソフト+レシートスキャナー
- 効果:請求書・領収書を電子保存→月次決算の大幅なスピードUP
事例⑤ 複数機能の統合IT導入(通常枠大規模)
- 導入内容:販売・在庫・会計を統合したERPシステム
- 効果:450万円の補助で大掛かりなシステムを導入し、全社的DXを加速
ポイント:補助金を活用してIT化が進むと、生産性向上や業務効率化はもちろん、売上増やコスト削減につながる可能性があります。
まとめ
2025年のIT導入補助金は、通常枠・インボイス枠ともに企業のDX推進やインボイス対応を強力に支援してくれる制度です。以下の点を押さえて、ぜひ計画的に申請を検討してください。
- インボイス枠はPC・レジなどハードウェアも含め手厚い補助が受けられる
- 賃上げ計画の表明が必須(未達時のリスクも理解して取り組む)
- 締切前は申請が集中するため、余裕をもったスケジュールで準備
- 不明点は必ず公式サイトの公募要領・FAQをチェック
- 複数回の公募がある場合も早期ラウンドを狙うのがおすすめ
当サイト(HOJOLAB)は、補助金・助成金領域の最新トピックを継続的に追いかける専門家チームが運営し、読者の皆様にわかりやすい情報提供を心がけています。2025年のIT導入補助金は申請ハードルが下がっており、特にインボイス対策の機運が高い今こそチャンスです。ぜひ、業務効率化&コスト削減を同時に実現できるIT化の一歩を踏み出してみてください。
参考:詳細な公募要領や申請様式は「IT導入補助金2025」公式サイトでダウンロードできます。最新情報や制度変更がある場合もあるため、必ず公式情報を随時確認しましょう。
執筆者情報
当サイト(HOJOLAB)は、補助金・助成金に関する専門家や行政書士など複数名のチームにより運営されています。官公庁・自治体の公募情報に精通し、過去に数多くの補助金申請支援に携わってきた実績があります。この記事が、皆様のIT導入補助金申請の一助となれば幸いです。