2025年のIT導入補助金は、中小企業や小規模事業者、個人事業主にとってITツール導入を後押ししてくれる心強い制度です。例えば、2025年の各締切までに申請を行うことで補助金の交付決定を受け、ITツールの導入費用を大幅に抑えられるチャンスがあります。ただし、締切日や書類要件が厳格に定められているため、申請書の作成段階で不備があると不採択リスクが高まります。
そこで本記事では、通常枠・インボイス枠に対応した「申請書(交付申請)の書き方」を、7つのステップに沿ってわかりやすくまとめました。初心者の方にも理解しやすいよう、必要書類や入力方法、注意点を丁寧に解説しています。以下の流れを踏めば、実際のオンライン申請フォームや添付書類の準備がスムーズに進められるはずです。

ステップ1:gBizIDプライムアカウントを取得する
gBizIDプライムとは
IT導入補助金を含む複数の国の補助金申請サイトで共通利用される政府認証IDです。交付申請をオンラインでするために必須となっています。まだお持ちでない場合は、少なくとも申請締切日の2〜3週間前には手続きを開始しましょう。
取得手順
- gBizID公式サイトで利用者登録を行う
- 申請フォームを印刷し、社判や代表者印を押印
- 郵送にて書類を提出
- 書類審査を経て2週間程度でアカウント発行
もし直前で慌ててしまうと発行が間に合わず、申請自体ができなくなるケースもあります。gBizIDプライムの取得は最優先で進めてください。
補足:gBizIDメンバー/gBizIDエントリーとの違い
- 「gBizIDメンバー」や「エントリー」は補助金申請には使えない場合が多い
- 必ず「プライム(法人・個人事業主向け)」を取得
- 登録情報(法人名・所在地等)と登記簿が一致するよう注意
ステップ2:SECURITY ACTIONの自己宣言(ID発行)を行う
SECURITY ACTIONとは
独立行政法人IPAが推進する中小企業の情報セキュリティ対策啓発制度です。IT導入補助金の要件として、一つ星または二つ星のSECURITY ACTION宣言を済ませておく必要があります。
- 取得期間:1週間程度
- 手続き方法:IPA公式サイトで企業情報を登録→メール認証→ID発行
実務ポイント
- 既にSECURITY ACTIONを取得済みの場合は再取得不要
- 一つ星・二つ星どちらでもOK
- ID発行メールを大切に保管し、後の申請時に「自己宣言ID」を入力する
注意:取得には担当者情報や企業基本情報の入力が求められます。手続き開始から発行まで数日〜1週間かかることがあるため早めに対応しましょう。
ステップ3:必要書類を入手・準備する
IT導入補助金の申請では、以下のような法人・個人別の証明書類をPDF等で添付することが必須です。取得に時間がかかることも多いため、事前に押さえておきましょう。
対象 | 必要書類(例) | 取得先・注意点 |
---|---|---|
法人 | ・履歴事項全部証明書 ・法人税の納税証明書(その1)等 | ・法務局で登記簿謄本を取得(3ヶ月以内) ・税務署で納税証明書発行(1通400円程度、即日または数日) ・会社情報が最新の登記内容と一致しているか事前に確認 |
個人事業 | ・確定申告書B控え(税務署受付印) ・所得税の納税証明書 ・本人確認書類(免許証など) ※開業1年目は注意 | ・税務署で納税証明書を発行 ・本人確認書類は鮮明なコピーまたはスキャンデータ- 開業してから初回の確定申告を終えていないと納税証明書を取得できない(開業1年目で申請不可の場合がある) ・免許証等にマイナンバーは記載されないが、他書類で個人番号がある場合はマスキング必須 |
書類取得時のポイント
- 発行日から3ヶ月以内の証明書が有効
- スキャンやPDF変換が必要なため、鮮明に読み取りできる形で用意
- 複数ページにわたる書類はページ抜けが無いように結合
- マイナンバーや個人情報は黒塗り(マスキング)を徹底
ステップ4:IT導入支援事業者と連携し申請マイページを開設する
IT導入支援事業者とは
IT導入補助金は登録されたITベンダーと共同で申請する制度です。申請者(中小企業・個人事業主)が単独で申請できない仕組みになっているため、まずは導入したいITツールを提供するベンダーが「IT導入支援事業者」に登録しているかどうかを確認しましょう。登録事業者は補助金公式サイトで検索できます。
申請マイページ開設の流れ
- IT導入支援事業者に「IT導入補助金を利用したい」旨を伝える
- 事業者側がオンライン申請システムで申請マイページを仮登録
- 申請者(あなた)のメールアドレスへ招待URLが送られる
- gBizIDプライムでログインし、マイページを正式開設
この共同作業により、申請者とIT導入支援事業者が同じ申請画面を共有できるようになります。後のステップで、ITツールの見積情報や導入計画の数値など、支援事業者しか入力できない項目もあるので連携が非常に重要です。
ワンポイント
- IT導入支援事業者は申請手続きや補助金の要件を熟知しているケースが多い
- 書類準備やフォーム入力で不明点があれば早めに相談しておくとスムーズ
ステップ5:申請書フォームに基本情報と計画内容を入力する
申請書フォームの概要
申請マイページにログインすると、交付申請フォーム(オンライン)で以下のような項目を入力する画面が表示されます。画面指示に沿って順番どおりに進めればOKですが、入力ミスや入力漏れが起きやすいので要注意です。
主な入力項目
- 申請類型の選択
- 通常枠(A・B類型)なのか、インボイス枠(デジタル化基盤導入類型)なのか
- 補助率や上限額が異なるので支援事業者と事前にすり合わせ
- 企業基本情報
- 法人番号、正式社名(登記簿どおり)、所在地、電話番号
- 設立年月日(登記上の年月日)、代表者名、担当者連絡先など
- 住所の番地やビル名も省略せず正確に入力
- SECURITY ACTION自己宣言ID
- ステップ2で取得したIDをそのまま入力
- 一つ星・二つ星を区別する項目があれば該当を選択
- 事業概要・業種分類
- 自社の事業内容や提供製品・サービスを簡潔に記述
- 業種分類はプルダウンで選択、該当しない場合は近いものを選ぶ
- 財務情報・従業員数
- 直近期の売上高、経常利益、資本金、常時雇用従業員数など
- 決算書や申告書を参照し、誤りのないよう入力
- 経営状況に関する設問
- 事業承継や海外展開状況など簡単なアンケート形式
- すべて回答しないとエラーになることが多い
入力ミスを防ぐポイント
- 法人名や所在地は登記簿謄本と完全一致させる(株式会社の「(株)」表記は禁止)
- 設立年月日と創業日を混同しない
- 従業員数は正社員・パート・アルバイトを含めた常時雇用人数(役員は除外)
- 自由記述欄(事業概要など)があれば、自社の課題と導入効果を簡潔にPR
もし不明点があれば、入力を仮保存したうえで支援事業者に質問しましょう。一度提出すると修正が難しいため、慎重に進めることが大切です。
ステップ6:必要書類をアップロードし、不備がないか確認する
アップロードする書類一覧
ステップ3で準備した法人・個人ごとの証明書類をPDFや画像形式でアップロードします。具体的には下記の通りです。
- 法人
- 履歴事項全部証明書(3ヶ月以内)
- 法人税納税証明書(その1)または(その2)
- 個人事業主
- 確定申告書B控え(税務署受付印つき)
- 所得税納税証明書
- 本人確認書類(運転免許証等のスキャン)
さらに、申請類型によって追加の様式が求められます。例えば通常枠(A/B)向けに「賃金状況報告シート」、デジタル化基盤導入枠(インボイス対応)で「取引先アカウント一覧」など。これらはIT導入補助金公式サイトの資料ダウンロードからExcel等で入手し、記入してアップロードする仕組みです。
書類アップロード時の注意
- ファイル形式:PDFが推奨(JPG/PNGでも可だが画質に注意)
- 鮮明さ:文字や印影が読める高解像度スキャンを使用
- マスキング:マイナンバーや個人番号が含まれる場合は黒塗り必須
- ページ抜け:複数ページの書類は必ず全ページを結合して1ファイルに
不備があるとほぼ間違いなく審査落ちになるため、アップロード前にIT導入支援事業者や社内担当とダブルチェックを推奨します。
ステップ7:申請内容を最終確認し、共同で申請を完了する
共同申請の最終プロセス
- 申請者(あなた)が基本情報を入力完了
- IT導入支援事業者がITツールの詳細や補助対象経費の内訳を入力
- お互い内容を確認し、最終的に申請者が要件確認・宣誓を行う
- 「申請」ボタンを押し、交付申請を送信
これですべてのオンライン手続きが完了です。締切時刻(基本17:00)を過ぎると送信不可になるので要注意。
賃上げ計画と生産性向上要件
申請の最終段階では、賃上げ計画や生産性指標を入力する欄があります。特に地域別最低賃金+30円以上や賃金総額の年率1.5%以上の増加など、公募要領で求められる要件を満たさないと採択されません。無理のない範囲で数値計画を立て、要件以上の水準を設定しておきましょう。
注意:賃上げ計画を申請して採択された後、実施期間内に未達成となった場合、補助金の返還リスクがあります。計画は慎重に設定してください。
交付決定後の流れ
- 審査期間:公募締切後、約1か月前後で審査
- 交付決定通知:申請マイページに採択・不採択の結果が掲載
- 補助事業実施:交付決定日以降にITツールを契約・導入(前倒し契約は対象外)
- 実績報告・効果報告:事業期間終了後、納品書や支払証憑等をまとめて報告
- 補助金受け取り:審査完了後、指定口座へ振り込み
まとめ
IT導入補助金の申請書作成は、事前準備と正確な入力が命です。gBizIDプライムの取得やSECURITY ACTION宣言など、締切間際に手配しても間に合わない要素が多いので、まずは早い段階で動き出しましょう。加えて、提出書類(履歴事項全部証明書・納税証明書など)の有効期限3ヶ月という制約や、個人事業主の場合の確定申告書Bの受付印など、細かい要件も見逃せません。
本記事のポイントおさらい
- gBizIDプライムとSECURITY ACTIONは早めに取得しておく
- 必要書類は法人/個人事業主で異なるため、一覧を事前にチェック
- IT導入支援事業者と連携してマイページを開設し、共同で申請
- 申請書フォームの入力は登記簿・書類と相違がないよう細心の注意
- 書類アップロード時は鮮明スキャン&マスキングを徹底
- 賃上げ計画や生産性向上要件を満たす数値設定で審査突破を目指す
- 締切日の17:00厳守。直前の駆け込みはシステム障害リスクもあるので注意
当サイト(HOJOLAB)は、補助金・助成金に関する最新情報を常にウォッチし、読者の皆様が最短ルートで手続きを進められるようサポートするメディアです。2025年のIT導入補助金は「通常枠」や「インボイス枠」など複数の申請類型がありますが、正しく準備すれば最大450万円(通常枠)やハードウェア補助まで含めた優遇措置(インボイス枠)を活用可能です。ぜひ本記事を参考に、不備のない申請書を仕上げて補助金を活用し、事業のデジタル化・業務効率化をさらに加速させてください。
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※本記事は2025年のIT導入補助金を想定した内容です。公募スケジュールや要件は国の方針や追加予算の状況により変更される場合があります。必ず公式サイトや公募要領の最新版を参照し、最新情報を確認のうえ申請を進めてください。