この記事のポイント
- 2025年7月10日(第1回締切)までに予定される「中小企業新事業進出補助金」への申請を視野に入れる際、準備すべきポイントを90日前から逆算して解説
- 製造業・サービス業・飲食業それぞれの視点で、設備投資や業態転換のコツを整理
- GビズID取得、必要書類リスト、社内稟議用テンプレート、外部専門家活用の判断基準を網羅
【はじめに:ニュース性と結論】
2025年を目安に公募が行われる(予想)「中小企業新事業進出補助金」は、設備投資を支援する大型の補助金で、補助率1/2・最大9,000万円という高額支援が期待できます。しかし、公募開始から締切まで約2か月程度と期間が短く、多くの企業が申請準備に追われて不備や書類不足で苦戦しているのが現状です。
本記事では、申請90日前(3か月前)から逆算しながら行うべき準備・手続き・社内調整を詳細に解説します。さらに、必要書類の一覧表、社内稟議テンプレート、外部コンサルの活用基準などをまとめ、製造業・サービス業・飲食業の各業種でどのような点に注意すべきかを紹介。「自分が対象か」「申請でどれくらい得するか」を理解しつつ、スムーズに準備できる流れを目指しました。ぜひ参考にしていただき、補助金の活用で事業を加速させてください。

1. 新事業進出補助金とは?概要と補助額
「中小企業新事業進出補助金」は、中小企業が新市場・高付加価値分野への事業転換や、新規製品・サービスを開発する際の設備投資や開発費用を支援する大規模補助金です。特徴としては、
- 補助率: 対象経費の1/2
- 補助上限: 従業員規模に応じ2,500万円~7,000万円(大幅賃上げ特例で最大9,000万円)
- 要件: 付加価値年平均+4%以上や賃上げ2.5%以上など
- 公募スケジュール: 年1~2回募集。公募開始から締切まで約2か月と短期間
製造業、サービス業、飲食業など幅広い業種で利用でき、2025年も同様の枠組みが実施される見込みがあります。しかし、採択率は決して高くないため、事前準備の質が採否を大きく左右します。以下では締切90日前→60日前→30日前の3段階に分け、具体的なToDoリストを整理しました。
2. 【申請90日前】初期準備ステップ(3か月前)
2-1. 公募要領・支援内容の確認
- 補助金公式サイトで最新の公募要領を熟読し、対象者や要件を確認
- 付加価値額+4%、賃上げ+2.5%などの目標が必要か要チェック
- 締切から逆算して、社内スケジュール表を作成
製造業: 特許の有無や技術的な裏付けを事前に確認し、設備投資の概算も検討
サービス業: 新サービスの提供方法やITシステム費用が補助対象になるか要確認
飲食業: 新店舗やメニュー開発の場合、物件・保健所許可などの前提条件を下調べ
2-2. GビズIDプライムの取得
- 電子申請に必須のGビズIDプライムが無いと始まらない
- 取得に1〜2週間かかるため、最優先で手続きを済ませる
- すでにIDがある場合も、パスワード等の有効性を確認
2-3. 社内プロジェクト体制の構築
- 経営者(代表者)をスポンサーとするチームを結成
- 事業計画担当、財務担当、稟議・決裁担当など役割分担を明確化
- 同時に、社内稟議書(後述テンプレ)を起案して幹部の支持を取り付ける
製造業: 技術者や生産管理担当が必須メンバー
サービス業: 運用担当や顧客対応部門の意見も取り入れる
飲食業: 店舗運営担当・メニュー開発担当を巻き込み、計画を具体化
2-4. 新事業アイデアのブラッシュアップ
- 新規性・市場性・付加価値向上など審査観点を意識し、アイデアを固める
- 市場調査や競合分析を開始し、客観的データを収集
- 数字で根拠を示せるように準備(市場規模や導入効果など)
2-5. 必要経費の洗い出しと資金計画
- 補助対象となりそうな設備投資やシステム開発費をリストアップ
- 見積の概算を得て、総事業費・補助金額・自己負担額をシミュレーション
- 金融機関からの借入予定があれば、早めに経営陣と相談
2-6. 外部情報収集・説明会参加
- 補助金の公募説明会やセミナーがあれば参加
- 公式サイトのFAQや他社の採択事例を調べ、計画策定の参考にする
- 必要に応じて自治体や商工会議所のセミナーで最新情報を入手

3. 【申請60日前】中期準備ステップ(2か月前)
3-1. 事業計画書(申請書)作成着手
- いよいよ電子申請システムに入力する内容を本格作成
- 付加価値・賃上げのシミュレーション(年4%以上, +2.5%以上)をExcel等で算出
- 初稿を早めに完成し、社内レビューに回す(最低でも2ヶ月前には初稿完成を目指す)
製造業: 技術用語が多い場合、専門外の審査員にも分かるよう平易に書く
サービス業: 無形サービスの場合は収益モデルを具体的に
飲食業: メニュー例や客単価の試算、地域貢献の要素を盛り込む
3-2. 見積書の取得(複数社)
- 設備・システム導入に関して、3社以上の相見積もりが望ましい
- 成功後に価格適正性を証明するため、見積根拠をそろえる
- リース活用時はリース会社の見積や計算書を取得
3-3. 必要書類の収集・準備
- 直近2期分の決算書(法人)、確定申告書(個人)など申請必須書類をPDF化
- 労働者名簿で従業員数を証明
- 賃上げ計画表明書、金融機関確認書(借入の場合)などを準備
- 書類不備は即不採択の可能性があるため、チェックリストを使って漏れ防止
3-4. 社内承認プロセスの実施
- 初稿の事業計画書と資金計画をそろえ、稟議書を回覧
- 代表者・役員からの承認を得て、申請手続きの正式GOサインを得る
- 承認には時間がかかる場合もあるため、1〜2か月前には稟議を通す
製造業: 投資回収シミュレーションや減価償却負担をしっかり説明
サービス業: 無形投資のメリットや差別化ポイントを説得的に
飲食業: 店舗出店の場合は立地・予想客数など定量的に示す
3-5. 認定支援機関等への相談
- 中小企業診断士や税理士、金融機関など認定支援機関に計画を見てもらう
- 申請書の完成度を高め、不備を事前に指摘してもらう
- 無料相談窓口(商工会・よろず支援拠点)も活用
4. 【申請30日前】最終準備ステップ(1か月前)
4-1. 事業計画書の最終仕上げ
- 社内レビューの指摘を反映し、論理的かつ簡潔な文章に仕上げる
- 審査員が注目するポイント(新規性・収益性・付加価値)をしっかりカバー
- 文字数・字数制限を守り、誤字脱字や専門用語の注釈を最終チェック
4-2. 電子申請システムへの入力・書類アップロード
- GビズIDでJ-Grants等の申請サイトにログイン
- 事前に作成したテキストをコピペし、記入漏れを確認
- PDF添付資料(決算書・見積書など)をアップロード。ファイル名も要注意
- すべて完了したらプレビューで最終確認し、不備がなければ提出
製造業: 技術資料や写真を入れすぎると容量制限に引っかかることがあるため注意
サービス業: システム構成図など図解はコンパクトにまとめる
飲食業: 店舗写真やメニュー案は補足程度に添付し、本筋(新事業の意義)を明確に
4-3. 最終的な社内承認・送信準備
- 稟議書で承認取得済みか再確認
- 必要な代表者印などを押印し、電子申請送信は締切2〜3日前に行う
- 提出完了後、受付番号やメール通知を保存し社内共有
4-4. 提出後のフォロー準備
- 採択結果は通常、締切後2〜3か月で発表
- 採択されたらすぐ交付申請が始まるため、契約や詳細見積の最終用意を進める
- 不採択の場合、別の補助金や自己資金での計画再検討も視野に

5. 必要書類一覧(法人・個人・共通)
法人申請の場合
- 決算書類(直近2期分): 貸借対照表・損益計算書など
- 確定申告書別表一(直近期): 納税署の受付印or e-Tax受信通知付き
- 法人事業概況説明書(直近期)
- 労働者名簿(従業員名簿)
- 固定資産台帳
- 賃上げ計画表明書
- 金融機関確認書(借入時)
- その他(リース会社書類・再生事業者証明など該当時)
個人事業主申請の場合
- 確定申告書 第1表(直近期)
- 青色申告決算書 or 収支内訳書(直近期)
- 身分証明書・納税証明(場合により)
- 労働者名簿(従業員がいる場合)
- 固定資産台帳
- 賃上げ計画表明書
- 金融機関確認書(借入時)
- その他(リース会社書類など該当時)
共通添付書類(応募者全員)
- 事業計画書(応募様式): 電子申請フォーム上で入力
- 応募者概要・誓約事項: システム入力時に確認
- 行動計画の公表(従業員101名以上企業): 次世代法・女性活躍法の届出受理通知等
6. 社内稟議・決裁取得用テンプレート例
以下は、社内承認を得るための稟議書サンプルです。自社のフォーマットに合わせて調整してください。
件名: 「中小企業新事業進出補助金」申請に関する稟議
起案者: ○○部 △△(作成日: 2025年○月○日)
決裁者: 代表取締役 □□ 殿目的・背景: 当社新規事業「○○プロジェクト」立ち上げに伴い、○○省公募の「中小企業新事業進出補助金」(補助率1/2, 上限○○万円)に申請したく、稟議を上げます。
補助金概要: 新市場への設備投資を支援する制度であり、当社規模の場合最大○○万円支援を得ることが可能。賃上げ・付加価値向上など一定要件を満たす必要がある。
新事業概要: (例: 製造業→新型装置を導入し〇〇生産に参入。サービス業→クラウドシステム開発。飲食業→新店舗出店など。)
予想効果: 5年後に売上○%増、付加価値年平均+4%以上、従業員給与+2.5%を計画。
会社負担: 全体事業費○○万円のうち、補助金○○万円を除いた○○万円を当社負担。資金不足分は融資を活用予定。
リスク・注意点: 不採択の可能性や賃上げ未達の場合の返還リスク等。申請準備に社内工数が必要。決裁依頼事項: 上記補助金の申請および自己資金○○万円の拠出を承認いただきたい。採択後は速やかに事業を実施し、交付申請・実績報告などの手続きを行う。
添付資料: 事業計画書ドラフト、資金計画表、収支予測、補助金公募要領抜粋
7. 外部専門家(コンサル等)活用の判断基準
7-1. 社内リソース・経験の有無
- 過去に似た補助金を申請した経験者がいない場合、専門家のサポートで時間短縮と品質向上
- 自社で人員・ノウハウがあるなら、費用をかけずに独自申請も可能
7-2. 補助金制度の難易度・競争率
- 新事業進出補助金など高額・競争率が高い公募はコンサル利用の効果大
- 小規模補助金や難易度が低い案件なら社内対応しやすい
7-3. 申請締切までの期間
- 準備時間が短いほど、プロに依頼して短期集中的に仕上げるメリットあり
- 逆に余裕があれば社内の学習機会として自力対応しても良い
7-4. 自社計画内容の専門性
- 高度な技術開発なら技術系コンサル、ITサービスならシステム系コンサルなど適切な専門家を選ぶ
- 無形サービスでも文章作成やマーケ分析が得意な診断士の力を借りられる
7-5. 費用対効果・予算
- コンサル費(成功報酬○%+着手金など)に見合うほど補助金額が大きいか
- 予算が限られているなら無料の商工会議所相談等も検討
7-6. 信頼できる専門家の存在
- 「採択率100%」と謳う業者は要注意(案件選別しているだけの可能性)
- 実績や料金体系を精査し、認定支援機関資格の有無や過去の成功例を確認
- 顧問税理士や取引銀行が認定支援機関である場合はまず相談してみる
8. まとめ
本記事では、新事業進出補助金を確実に申請するための準備手順を「締切90日前→60日前→30日前」というタイムラインで整理しました。製造業・サービス業・飲食業の各業種別の注意点や、必要書類一覧、社内稟議テンプレート、外部コンサルの活用判断などを網羅しています。改めて重要なポイントを総括すると、以下のようになります。
- GビズIDプライムの早期取得:電子申請に必須であり、取得に時間がかかる
- 社内体制づくりと稟議承認:補助金申請は経営者の理解・決裁を伴うため、早めに稟議を回しておく
- 事業計画書の論理性・具体性:売上・付加価値・賃上げなど、数字の根拠を示すことが採択のカギ
- 見積書や決算書など書類漏れ防止:不備は致命的。必ずチェックリストを使う
- 締切直前は混雑リスク:2〜3日前には送信完了が望ましい
- 外部コンサルの活用は費用対効果で判断:初めてで不安が大きい場合や大規模投資案件なら依頼検討
一問一答:読者の課題を解決
- 自分が対象か?
→ 中小企業・個人事業主で、従業員が1名以上いること。新市場・新製品に挑戦する計画なら検討価値大 - 申請でどれくらい得する?
→ 対象経費の1/2補助なので、最大9,000万円をカバー可能。大幅な自己負担軽減 - どうやって準備?
→ 90日前からのスケジュールに沿って、計画策定・GビズID取得・見積取得・稟議承認・書類準備を着実にこなす

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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の申請時には、最新版の公募要領や公式FAQを必ず確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。2025年度以降の公募スケジュールは変更の可能性があり、当サイトが保証するものではありません。
まとめ
補助金申請は大変ですが、しっかりと準備すれば最大数千万円もの支援を受けられる大きなチャンスです。90日前→60日前→30日前とステップを踏んで計画的に動けば、書類不備や準備不足を回避でき、採択の可能性を高められます。新事業進出補助金を活用して、設備投資や新サービス開発、飲食店の新店舗展開など、中小企業が持続的に成長する礎を築きましょう。
当サイトとしても、皆様の補助金活用がスムーズに進み、事業をより一層発展させられるよう願っています。困ったときは認定支援機関や専門家、商工会などを頼りつつ、ぜひチャレンジしてみてください。早めの動き出しが成功への近道となります。健闘をお祈りします!