
2025年6月、四国経済産業局をはじめとする公式発表により、事業再構築補助金の第14回公募は正式に取りやめとなりました。その一方で、ポストコロナの成長投資を後押しする新制度として「新事業進出補助金2025」が創設され、同年7月10日締切で初回公募が進行中です。本記事では
- 14回公募中止の公式根拠
- 新制度の目的・補助率・対象経費・スケジュール
- 再構築補助金との5大相違点
- 採択率アップのチェックリスト
- よくある質問の早わかり
を網羅。公募終了まで残り日数わずかの中小企業・個人事業主の皆さまが、限られた時間で最適な準備を進められるよう、一次情報をもとに解説します。
第1章 14回公募が中止になった背景と公式ソース
2024年度補正予算の計上段階で「事業再構築補助金」の追加公募は検討されていましたが、2025年6月14日の公式リリースで「第13回で新規公募終了」が明記され、14回目の窓口は開かれませんでした。背景には
- コロナ禍を乗り越えた企業の再建フェーズが一巡
- 賃上げと成長投資を同時支援する政策への転換
- 基金残高を活用した新制度への改編
があり、既採択企業の交付・実績報告は継続するものの、新規受付は打ち切りとなりました。
第2章 新事業進出補助金2025の全体像
2‑1 制度の目的
既存事業と異なる市場・製品に“新規参入”し、付加価値を高めつつ賃上げを実行する中小企業を集中的に支援します。
2‑2 補助上限・補助率
従業員規模 | 通常上限 | 賃上げ特例上限 | 補助率 |
---|---|---|---|
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 | 一律1/2 |
21‑50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | 〃 |
51‑100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | 〃 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 | 〃 |
下限は一律750万円。大企業は対象外。
2‑3 対象経費
機械装置・システム構築費/建物費/運搬費/技術導入費/知財関連費/外注費/専門家費/クラウド利用料/広告宣伝・販売促進費など。
2‑4 初回スケジュール
主なマイルストーン | 日程 |
---|---|
公募開始 | 2025‑06‑17 18:00 |
申請締切 | 2025‑07‑10 18:00 |
採択発表 | 2025年10月頃 |
事業実施期間 | 交付決定後14か月以内 |
予算は既存基金1,500億円を充当。公募回数は現時点で年1回のみ発表されていますが、次年度以降は補正予算の成立状況で増減する見通しです。
第3章 事業再構築補助金との5つの違い
比較項目 | 事業再構築補助金(第13回) | 新事業進出補助金2025 | 解説 |
---|---|---|---|
政策目的 | ポストコロナの業態転換 | 成長市場への新規参入+賃上げ | コロナ支援色を払拭し攻めの投資へ |
補助率 | 中小1/2(賃上げ2/3)中堅1/3(賃上げ1/2) | 一律1/2 | 中堅企業の優遇を整理 |
補助上限 | 最大1億円 | 最大9,000万円 | 巨額投資より中規模投資重視 |
賃上げ要件 | 類型ごとに差 | 最低賃金+30円&給与総額+2.5%/年(必須) | 賃上げが前提条件 |
スキーム | 基金7,000億円・13回公募 | 基金流用・初年度1回公募 | 14回目は存在せず |
採択率は再構築補助金第13回で35.5%。新制度での競争倍率は未発表ですが、上限が下がり補助率がフラット化したため倍率は同程度かやや上昇すると見込まれます。
第4章 採択率アップ5箇条チェックリスト
以下を満たせば書類審査の「減点・失格リスク」を大幅に減らせます。提出前に✓チェックをお忘れなく。
- 付加価値額+4%/年 を根拠付きで示している
- 最低賃金+30円かつ給与総額+2.5%/年の賃上げ計画を数値で記載
- 新規性要件(製品×市場)が公募要領の定義に合致
- 自己負担資金の裏付けとして金融機関確認書を取得済み
- 認定経営革新等支援機関と共同作成した計画で記載矛盾がない
第5章 FAQ ― よくある質問
Q1. 申請できるのはどんな企業ですか?
A. 日本国内に本社を置く中小企業等で、既存事業と異なる市場へ挑戦し、賃上げ要件を満たすことが条件です。
Q2. 設備投資はいくらまで認められますか?
A. 従業員101人以上の場合で通常7,000万円、賃上げ特例で9,000万円が上限です。
Q3. 賃上げ義務を守れないとどうなりますか?
A. 交付額の一部返還や補助対象外となるリスクがあります。計画段階で実現可能性を精査してください。
Q4. 提出書類は多いですか?
A. 事業計画書、直近期決算書、賃上げ計画、認定支援機関・金融機関確認書など10種以上。電子申請限定です。
Q5. 次回公募はありますか?
A. 2025年度は公開されている情報では今回のみ。次回および次年度の公募回数は補正予算が成立する秋以降にアナウンス予定です。
まとめ
事業再構築補助金は第14回が正式に中止となり、後継制度として「新事業進出補助金2025」が誕生しました。上限は最大9,000万円・補助率は一律1/2。賃上げと付加価値向上が必須条件で、公募締切は2025年7月10日18時と迫っています。再構築補助金と比べ、補助率・賃上げ要件・投資規模の設計思想が大きく異なるため、旧制度の知識だけでは不十分です。本記事の比較表・チェックリストを活用し、審査で減点されない計画書を作成しましょう。
次にやるべきアクション
- 公募要領(令和6年度補正・新事業進出補助金)最新版をダウンロード
- 認定経営革新等支援機関へ早急に相談し、事業計画ドラフトを共同作成
- 賃上げ計画を給与シミュレーションで具体化し、根拠資料を準備
- 金融機関と自己資金・借入の調達可否を確認し、確認書を入手
- 申請システム(jGrants)の操作マニュアルを読み、入力項目を事前チェック